日本六古窯の一つ、信楽焼きとは

信楽焼の窯元を有する甲賀市は、滋賀県南部に位置し、大阪、名古屋から100km圏内にある交通の要衝。水源涵養や水質保全に重要な、琵琶湖の源流を保持しています。そのなかにある信楽では、13世紀頃、常滑の影響を受けて開窯しましたが、産地としての土壌は約6,500万年前、信楽陶土の母岩となる花崗岩が山地に広がりました。そして、約400万年前に、現在の伊賀付近には、かつて琵琶湖の原型となる古代湖があり、約40万年前に現在の位置まで北上したと言われています。湖底には土砂や動植物の残骸などが堆積した古琵琶湖層があり、そこへ花崗岩や流紋岩の風化物が流れ込んで、やきものに適した粘土質が出来上がりました。また、信楽は四方を山に囲まれた土地ですが、山越えや峠越えを経て、近辺の宇治や大阪、伊賀へとやきものを運ぶことができました。特に16世紀より、当時列島最大級の消費都市・京都に最も近い利点を生かし、やきものの供給を行うことで、産地として興盛していったことも大きな特徴です。戦国時代には茶の湯の道具として用いられたほか、近代以降は茶器に限らずタイルや植木鉢、たぬきの置物など、あらゆるやきものを製作。「形になるものは何でもつくる」という伝統と創造が共存するたくましい産地で、いままで消費者のニーズに合わせて多様な製品を生産してきました。

 

焼き物の特徴

釉薬を施さずに焼き締めるため、長石と石英の砂粒が混ざったざっくりとした肌合いや、焼成の過程で素地が変化しつくり出される印象深い景色が特徴。古琵琶湖層から採取される土は耐火性に優れ、タイルから大甕まで対応できる、汎用性の高い土と言えます。1970年代には、古信楽の技法の再現に取り組んだ、三代高橋楽斎氏と四代上田直方氏の影響のもと、伝統技法を受け継ぐ多くの作家が活躍するようになり、1980年代後半頃からは、現代美術のジャンルとしてやきものを素材に自由な造形作品を制作する作家が活躍しています。

 

千年続く理由

形になるものは何でもつくるたくましい産地のため

甕壺をはじめとする大物、土瓶・神仏具・煎茶器などの小物、そしてたぬきや干支の置物といった型物など、多様な製品が生産されています。戦国時代、信楽茶陶は茶の湯の世界で一定の評価を得ていました。中世以来、現在に至るまで、消費者のニーズに合わせ、庶民の日常生活や工業製品に関わる品物を生産。現在は、受け継がれた技術をベースにタイルなどの建材から、日常生活で使う風呂桶のほか、茶陶や芸術作品をも生み出されています。芸術家・岡本太郎が《太陽の塔》を製作する際、「黒い太陽」レリーフを信楽でつくったことは、よく知られています。

大消費地に近接し、広域へ大量に流通できたため

信楽は大坂、京都という大消費地の近くに立地しています。開窯当初の信楽焼の流通範囲は、近江南部・伊賀・大和北部・南山城と広くはありませんでしたが、15世紀後半から16世紀までに、京都を中心として流通を拡大させました。信楽焼が茶の湯の道具として用いられるようになると、とりわけ奈良・堺・京都などの茶人が愛好。江戸時代には徳川将軍家への献上茶を詰める腰白茶壺をはじめ、京焼風の小物陶器生産がはじまり、特に江戸城下へ大量にやきものを供給していました。

茶の産地でもあるため

信楽はやきものだけでなく、茶の産地でもあります。15世紀初頭には、信楽の壺が茶葉詰めの容器に用いられていました。16世紀には、唐物や南蛮物の茶壺と並び評されるほど、高い評価を受けており、同世紀後半の天正期には、肩衝茶入、平水指、壺成水指、筒花入など新しい形状の茶陶が茶人たちの注文によって信楽で製作され、新たなる創造の時代がはじまります。江戸時代には、将軍に献上する茶を入れる御用茶壺の生産がはじまり、江戸時代後期になると茶の湯の流行を背景に、施釉陶器の茶道具が製作されました。信楽のやきものは茶の湯とともに発展してきたのです。

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<東京方面から>
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自動車
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新名神高速道路「信楽I.C.」下りる
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<名古屋方面から>
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または
新名神高速道路亀山西JCT→新名神高速道路へ
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